概要
アメリカ出張時に、薬局でアレグラの説明を読むと、日本と違うことが書かれている。
具体的に比較すると以下の通り。
日本:60mgを1日2回 (合計120mg)
アメリカ:180mgを1日1回
アメリカは1日1回でいい代わりに、1日の用量が日本の1.5倍になっている。
1日1回と2回で違うのはまだいいとして、どうして1日に飲む合計量まで変わってるの?という疑問を、薬の半減率を根拠に検証してみた。
検証
アレグラの半減率は9.8時間。つまり9.8時間おきに体内の薬の成分が半分になっていく。
ここから、"体内に入った薬は、即全て吸収される"という仮定を置き、Pythonで、以下の条件の体内の薬の量をプロットしてみた。(ソースは一番下)
日本方式(青) : 60mgを1日2回
アメリカ方式(オレンジ) : 180mgを1日1回
アメリカ方式で日本と同用量(緑) : 120mgを1日1回
とする。
薬を飲むと急激に体内の薬の量が増え、その後は半減率に従って減っていく様子がプロットされている。
考察
上記グラフを見ると、日本方式とアメリカ方式はグラフの下限値(薬を飲む直前の体内の薬の量)がほぼ等しい。一方で、アメリカ方式で日本と同用量飲む場合は、24時間後には体内の薬の成分がかなり減っていることが見て取れる。
アレグラをはじめとした抗アレルギー薬は、常に一定以上の薬の濃度を保つ必要がある。その為、最低濃度を保ち、かつ1日1回で効き目を持たせるために、アメリカでは日本の1.5倍の用量を飲ませていると推測できる。
また、日本方式が一番体内の薬の量が安定しており、かつ下限値が高くなっていることからもわかる通り、やはり1日2回に分けるのが一番安全、かつ効果的に効きそうに見える。用法用量は正しく守りましょう、ということかな。
注意
Pythonと高校数学程度の知識で、日頃の疑問を解決できる、という一例として、机上で計算してみた。
上記の内容は単純な興味で計算したものであり、薬事法で規定された飲み方以外の飲み方を推奨するものではない。
ソースコード
#!/usr/bin/env python # -*- coding: utf-8 -*- import math import numpy as np from matplotlib import pyplot pi = math.pi resolution = 200 x = np.linspace(0, 80, resolution) y = 60.0*(0.5)**((x)/9.8) for i in range(resolution): if x[i] > 12: y[i] += 60.0*(0.5)**((x[i]-12)/9.8) if x[i] > 24: y[i] += 60.0*(0.5)**((x[i]-24)/9.8) if x[i] > 36: y[i] += 60.0*(0.5)**((x[i]-36)/9.8) if x[i] > 48: y[i] += 60.0*(0.5)**((x[i]-48)/9.8) if x[i] > 60: y[i] += 60.0*(0.5)**((x[i]-60)/9.8) if x[i] > 72: y[i] += 60.0*(0.5)**((x[i]-72)/9.8) y2 = 180.0*(0.5)**(x/9.8) for i in range(resolution): if x[i] > 24: y2[i] += 180.0*(0.5)**((x[i]-24)/9.8) if x[i] > 48: y2[i] += 180.0*(0.5)**((x[i]-48)/9.8) if x[i] > 72: y2[i] += 180.0*(0.5)**((x[i]-72)/9.8) y3 = 120.0*(0.5)**(x/9.8) for i in range(resolution): if x[i] > 24: y3[i] += 120.0*(0.5)**((x[i]-24)/9.8) if x[i] > 48: y3[i] += 120.0*(0.5)**((x[i]-48)/9.8) if x[i] > 72: y3[i] += 120.0*(0.5)**((x[i]-72)/9.8) pyplot.plot(x, y, label = "60mg/12H") pyplot.plot(x, y2, label = "180mg/24H") pyplot.plot(x, y3, label = "120mg/24H",linestyle="dashdot") pyplot.legend() pyplot.xlabel("time [H]") pyplot.ylabel("[mg]") pyplot.show()